公演レポート

ジャズ・ワールドビート2018  第3回を迎え夏の風物詩としてすっかり定着してきた「ジャズ・ワールドビート」が、今年は七夕の日に開催されました。今年も多くのミュージシャンが参加し、1日中ジャズの要素を取り入れた様々なジャンルの音楽がホールに鳴り響いていました。

小ホール「アフタヌーン・サロン・ジャズ」
大ホール「Jazz World Beat2018」




小ホール「アフタヌーン・サロン・ジャズ」

昼から小ホールで行われた『アフタヌーン・サロン・ジャズ』には、小編成のデュオとトリオの計4組が出演。ジャズだけでは語れないジャンルを超越したユニットがアコースティックで個性豊かなサウンドを披露しました。

《Tokyo Django Collective+北床宗太郎》

日本人による、ジャンゴ・ラインハルトとステファン・グラッペリが奏でたマヌーシュ・スウィング+ジャズ・ヴァイオリン!1組目に相応しく、観客を和ませてくれました。ギターが刻むマヌーシュ・スウィング「ズッチャ!ズッチャ!」というリズムはいいですね!


《喜多直毅&黒田京子》

前組の雰囲気とは一転し、二人のパフォーマンスは、触れたらすぐに壊れそうな繊細で美しい、即興(?)のような音楽で会場が一気にピーンと張りつめさせられました。こんなに緊張感はある音楽はなかなかないです!


《仲野麻紀withヤン・ピタール》

サックスとウードで弾く、エリック・サティの曲を中心に。欧州〜中東〜北アフリカなど世界中を旅して音楽を製作するこの二人の世界は、多国籍感とユーモアに溢れていて、何とも言えないアジがありました。


《岩川光トリオ(佐藤芳明:アコーディオン、林正樹:ピアノ)

世界的ケーナ(南米ペルー、ボリビアなどが発祥の縦笛)奏者が自身のトリオで登場。全員アルゼンチン音楽好きというのが滲み出てきて、緻密でモダンなアルゼンチン音響派にも通じ、これはモダン・アートです!

小ホール セッション



大ホール「Jazz World Beat 2018」


エレクトリック・ジャズ、昭和歌謡を思わせるシンガー・ソングライター、マヌーシュ・スウィング(ジプシー・スウィング)と全くスタイルが違う3組が登場。

MC:中川ヨウ


RS5pb(類家心平5ピース・バンド)ゲスト:菊地成孔

《RS5pb(ゲスト:菊地成孔)》
大ホール1組目は、注目の若手トランペット奏者、類家心平のグループ「RS5pb」。70年代のマイルス・デイヴィスを彷彿とさせますが、現在の日本の最先端のジャズ。混沌としている爆音グルーヴが溜まりません!菊地成孔さんのサックスが入るとさらにヴォルテージが上がりました!


浜田真理子 ゲスト:喜多直毅、黒田京子


《浜田真理子》

「奇跡の声」と言われるシンガー・ソングライター。一時期ジャズ・ピアニストを目指してたそうで、彼女の歌には、ジャズやブルースを感じます。ピアノ・ソロの弾き語りと自身のトリオ(ベース、アコーディオン)で素敵な歌を披露しましたが、ゲスト出演した喜多直毅さん&黒田京子さんとのトリオで歌った「リリー・マルレーン」は神憑っていて、心揺さぶられました!


チャボロ・シュミット・トリオ





そして大トリはマヌーシュ・スウィングの第一人者チャボロ・シュミット・トリオが登場。チャボロのように熱い魂を感じさせる豪快なギターを弾く人はいません!バックのグルーヴ感も凄かった!ゲストの渡辺香津美さんのギターと太田惠資さんのヴァイオリンとの共演も素晴しく、大いに沸かせました。

最後に、小ホールの出演者も参加し、大セッションで終演。


アンコール セッション


フィナーレ


大ホール・ロビーの様子

またこの日のロビーでは、ジャンゴ・ラインハルト研究会による演奏や、マリオネット(L'imota De Rimi)のパフォーマンスも。

出演者のCDやグッズ販売のほか、ジャンゴゆかりのお店が並びました。パン屋「ブーランジェリー・ジャンゴ」さん、店名は本当にジャンゴなんです!(実店舗は練馬の新桜台にあります)
ガレット(仏・ブルターニュのクレープ)は小ホールに出演した仲野麻紀さんの手作り。小ホールが長引いて大ホールの開場に販売が間に合わず休憩中のみ焼いたのもご愛嬌(そして完売)。
ジャンゴが使ったセルマー/マカフェリ・タイプのギターを扱う、GuitarShopTANTANさんとAT Guitersさんは、栃木でジャンゴ・フェスの企画もされているそう。
ジャンゴ東京フェスティバルのブースは10月開催の宣伝を熱心に。
多くの方が食とワインに舌鼓を打ち、雑貨や洋服を興味深そうに手に取り、夏の休日をゆったりと楽しんでいました。



ご来場誠に有り難うございました。来年もお楽しみに!!

文:P太郎、ステージ写真:Makoto Ebi

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