2003年1月

31 Jan. 03

最近のケルト音楽オススメCD

ジョン・スピラーン
『ウィル・ウイ・ビー・ブリリアント・オア・ホワット?』

(2/9発売・ミュージックプラント)
トラッド・バンド、ノモスの元メンバーであり、4月のルナサ来日公演のゲストとして出演するアイルランドのシンガー・ソングライター、ジョン・スピラーンの2作目。独特なソフトな歌声はずっと聴いていくとハマってしまう魅力があり、彼のソング・ライティングも素晴らしいので、じっくりと聴き入ってしまう作品です。ブロードキャスター/作家/プロデューサーとして活躍するアイリッシュ・ミュージック界の重鎮、PJカーティスが「ジョンは過去10年間にアイルランドに現われた中で最も才能溢れ、重要なシンガー・ソングライターだ。」と言わしめるほど、今後の活躍に期待されているそうです。現に本作はアイルランドでゴールドディスクを獲得しました。プロデュースはホットハウス・フラワーズのピーター・オトゥールと元ムーヴィングハーツのデクラン・シノット。4月の来日が楽しみ!

カラン・ケイシー
『ディスタント・ショアー』

(2/11発売・グリーンエナジー)
ソーラスの初代リード・ヴォーカルで活躍した、カラン・ケーシーの4作目にあたる新作ソロ・アルバム。ずっと伝統歌のアルバムを発表していたカランだが、本作はビリー・ブラック、ティム・オブライアン、ジョン・スピラーンらのカバーを中心に構成されています。全体的に落ち着いたしっとりした統一感があり、どの曲もカランのために書かれたと言っていいほど高い完成度です。カランのさり気ない野花のようなヴォーカルをたっぷりと堪能できます。

ルアル・ナ・ルブレ
『エスピラル』

(発売中・オーマガトキ)
スペイン・ガリシアのケルト音楽を代表するグル−プ、ルアル・ナ・ルブレの3年ぶりの新作。アイルランドとはひと味もふた味も違う、イスラム、ポルトガルの伝統もミックスされている、ガリシアならではのスパニッシュ・ケルト音楽を聴かせてくれます。今回はアルバムの半分の曲をドーナル・ラニーがナイスなプロデュース(ブズーキ、ボーランでも参加)、爽快なサウンドに仕上げています。アルバム全体にもそれが影響しているようで、これまでの彼らの作品に比べて、圧倒的にスケール感が増しており、彼らの最高傑作といえる作品になっています。


24 Jan. 03

マヌーシュ・スウィング特集第3弾!!
マヌーシュ・スウィング関連の素晴らしい掲載雑誌の中で、現在発売中のものをご紹介します。

「ギターマガジン」(2003年2月号)
ギター専門誌「ギターマガジン」2月号の表紙の写真はジャンゴ・ラインハルト。そしてメイン大特集は「スウィング・ギター」。
「ジャンゴ・ラインハルト」をメインに、ジャンゴに影響を与えた「エディ・ラング」、そして現在活躍する「ブライアン・セッツツァー」など、スウィング系のアーティストの記事が掲載されています。スウィング・ギター史ともいえる内容のディスク・ガイドも充実して読み応えたっぷり!
今年のジャンゴのブーム到来を予感させる一冊です。

「ギターマガジン」のHP
www.rittor-music.co.jp/hp/gm/


「ヴィンテージ・ギターvol.8」
まるごと1冊セルマー/マカフェリ
(002年11月刊行・エイ出版)
毎回ギターのメーカー別に特集が組まれるギター専門誌「ヴィンテージギターvol.8」。最新号では、タイトル通りまるごと1冊、仏のギター、セルマー/マカフェリを特集。セルマー/マカフェリとえいば、ジャンゴが愛用した事により、ほとんどのマヌーシュ・スウィング系のギタリストが使用する必須ギターとして知られています。そのため当然、この号はまるごと1冊「マヌーシュ・スウィングの特集」といえる内容になっているのです。ジャンゴの軌跡を始め、多数のマヌーシュ・ギタリストの取材、フランスでのジャンゴ・フェスティバルの記事など、これからジャンゴ、マヌーシュ・スウィングを知る人にも、元々ファンの人にもバッチリの内容!これを読めば、もうマヌーシュ・スウィング博士になれるというほどの、密度の濃い素晴らしい内容の1冊です。

*ジャンゴの偉大さに感動!巻頭の「ジャンゴ・ラインハルト物語」
*セルマー/マカフェリのオリジナル・ギター(今では入手困難!)の写真がたっぷりと掲載。


「フィガロ・ジャポン」(2003・2/5号)
映画『僕のスウィング』の特集記事掲載!主演のチャボロ・シュミットと、監督のトニー・ガトリフのインタビュー記事が掲載されています。インタビュアーと文は中川五郎氏。


17 Jan. 03

2003年はマヌーシュ・スウィングがやってくる!

先週ご紹介したジャンゴ・ラインハルトの没後50周年の話題に引き続き、今週も関連のマヌーシュ・スウィングの話題です。

ここ数年、ジャンゴの“マヌーシュ・スウィング”は、じわじわと浸透している状況です。映画では、ジャンゴの音楽が使用されている『ギター弾きの恋』(ウディ・アレン監督/2000年)や、『ショコラ』(ラッセル・ハレストム監督/2000年)のサントラ盤がヒット。また、ジャンゴの影響を感じさせるアーティストたち、ホット・クラブ・カウタウン、ビレリー・ラグレーン、ダン・ヒックスなどの来日公演の実現や、邦楽ではエゴラッピン、バンバンバザールらの活躍も目立ちます。

manouche swing project〜マヌーシュ・スウィング・プロジェクト
そこで、没後50周年を迎えるジャンゴ・ラインハルトへのトリビュートとして、今年は“manouche swing project〜マヌーシュ・スウィング・プロジェクト”というシリーズでライヴを行います!

第1弾は「ロマーヌ」が初来日!
ロマーヌはジャンゴの精神を受け継ぎながら、新たなマヌーシュ・スウィングを開拓するフランス人ギタリスト。ギター・ファンの間では知る人ぞ知る存在であり、ロマーヌ・モデルというギターが出ているほどの、トップ・ギタリストです。なんと今回が初来日!
東京2回(5/16・18)、大阪(5/15)と計3公演を行いますが、各公演にジャンゴを敬愛する日本人ミュージシャン達がオープニング・ゲストとして出演します。特に、5/16はちょうどジャンゴの50回目の命日にあたり、「ジャンゴ・ラインハルト命日記念ライヴ」と銘打ったスペシャル・ライブ。(詳しくはこちら

第2弾は「チャボロ・シュミット・バンド特別公演」〜ジプシー・サマー2003開催!
映画『僕のスウィング』主演のギタリスト、チャボロ・シュミット(・バンド)。チャボロの相棒として知られ、映画でスウィングの父親役として出演のマンディーノ・ラインハルトと、盲目のアコーディオン奏者を中心としたユニット「ノート・マヌーシュ」。そして、ジャンゴと同じジプシー(マヌーシュ)音楽の遺伝子を持つ、ルーマニアのキング・オブ・ジプシー・バンド「タラフ・ドゥ・ハイドゥークス」が集結。東西欧州のジプシー音楽の競演、音楽フェスティバル「ジプシー・サマー2003」を予定。(詳細は近日発表!)

映画『僕のスウィング』

いよいよ明日(1/18土)より、映画『僕のスウィング』が渋谷シネマライズにて上映開始!
やはりトニー・ガトリフ監督の音楽シーンは素晴らしい!と改めて感じさせてくれる作品。トレーラーでの20人のミュージシャンによる演奏シーンを始め、音楽ファンには必見のライブシーン目白押しの一作です。是非お見逃しなく!

オフィシャルHP<http://www.my-swing.jp

アイリーン・アイヴァース

USENのサイトに、12月に来日したアイリーン・アイヴァースのインタビューが掲載されています。
(インタビュー&構成は松山晋也)

http://www.usen.com/music/voices.html


10 Jan. 03

今年2003年は、ジャンゴ・ラインハルトの没後50周年!

ということで、今年の音楽ブームのキーワードには「ジャンゴ・ラインハルト」は欠かせないでしょう!ジャンゴの音楽スタイルである“マヌーシュ・スウィング”が要注目です!

ジャンゴ・ラインハルト:1930〜50年代に仏で活躍したジプシー・ギタリスト。マヌーッシュ・スウィングのゴッドともいわれる巨大な存在で今でも多くのフォロワーを生んでいる。34年にステファン・グラッペリと「フランス・ホット・クラブ五重奏団」を結成し、その後のアメリカのジャズ・シーンにも絶大な影響を及ぼした。

マヌーシュ・スウィング:20〜30年代にジャンゴ・ラインハルトによって作り上げられたスタイルで、スウィング・ジャズをジプシー的解釈した音楽。ジプシー・スウィング、ジプシー・ジャズとも呼ばれる。

マヌーシュ:フランス(中部以北)とドイツ〜ベルギー国境近くに暮らすジプシーの通称。


映画『僕のスウィングオフィシャルHP<http://www.my-swing.jp

ジャンゴ・ラインハルトへのトリビュート映画であり、マヌーシュ・スウィングの映画というべき内容の『僕のスウィング』が、いよいよ来週1/18(土)渋谷シネマライズを皮切りに、全国で上映が開始されます。ジャンゴ・ラインハルトの没後50周年にあたる2003年の始めという、絶妙なタイミングでの公開です。

仏と独との国境沿いストラスブルグのマヌーシュ(ジプシー)・コニュニティを舞台に、白人の少年とジプシーの少女の小さな恋と、マヌーシュのギタリスト(チャボロ・シュミット)との交流を描いている作品で、全編、“マヌーシュ・スウィング”がフィーチャーされています。
主役は、ジャンゴ・ラインハルトの最も忠実な後継者といわれるギタリスト、チャボロ・シュミット。現在活躍する多くのマヌーシュ・スウィングのギタリストがチャボロに憧れたといわれるほどの伝説的存在。
そして監督は『ラッチョ・ドローム』『ベンゴ』など、ジプシー作品を撮り続ける仏のトニー・ガトリフ。この監督は、音楽のために映画を作っているのかと思わせるほど、いつも素晴らしいジプシーたちの演奏シーンを撮っています。『ラッチョ・ドローム』でのタラフ・ドゥ・ハイドゥークスの出演シーンも有名で、映画史に残る素晴らしい名場面です。『僕のスウィング』でも、たっぷりと音楽の名場面、チャボロ・シュミット(ギター)の素晴らしい演奏シーン観ることができます。
映画ファンはもちろん、ジプシー音楽、ギター音楽、ジャズ音楽ファンは、必見の映画です。

チャボロ・シュミットが来日!!
今週、チャボロ・シュミットが、トニー・ガトリフ監督と共に、映画『僕のスウィング』のプロモーションで来日しています。
1/9に行われたプロモーションライヴで30分、そして先行ロードショーの会場で4曲ほどを演奏しましたが、これが想像を遙かに凌ぐ素晴らしさで、鳥肌ものでした!楽しい&気持ちいい&ごきげんな極上のアコースティック・グルーヴと、超絶&圧巻なギター・ソロ!もう本当にグレートな演奏でした。
8月の来日公演(Gypsy Summer 2003)に、大いに期待してください!

チャボロ・シュミットが、FMラジオ・J-WAVEの「VIVA!ACCESS」(ナビゲーター:南美布)にゲスト出演します!オンエア日:1月16日(木)11:30-14:00

写真上:1/9・渋谷シネマライズでガトリフ監督と共に舞台挨拶
写真下:1/9・新宿ミノトールでのプロモーション・ライヴ(CS“pbs”が収録。放映日は分かり次第お伝えします)