特集

『ゲーム・オブ・スローンズ』の北アイルランド・ロケ地聖地巡礼が熱い!

海外テレビ・ドラマ『ふつうの人々』のアイルランド・ロケ地巡り!


海外テレビ・ドラマ『ふつうの人々』は、2020年7月にイギリスとアイルランドで放映され、その後、アメリカの「Hulu」をはじめ世界で配信され、米英メディアからは「2020年ベスト・ドラマ」と高い評価を得た作品。原作は、アイルランドの作家サリー・ルーニーのベストセラーとなった同名小説(原題: Normal People)で、アイルランドの田舎町に暮らす2人のラブストーリーを描いた作品。
ロケは全編アイルランド(スライゴーとダブリンが中心)で行われており、ケルティック・ジャイアで昨年10月に公開した特集記事「ゲーム・オブ・スローンズ・ロケ地巡り」に続き、今回もアイルランド在住のアイルランド公認ナショナル・ツアーガイドの山下直子さんに、このドラマのロケ地となったアイルランドをご案内いただきます。
各地にGoogle earthの リンクを貼り付けておりますので、PCの画面から、アイルランド旅行・散歩気分を味わえます。是非、ドラマ鑑賞とご一緒にお楽しみ下さい!


※『ふつうの人々』は、日本では動画配信サービス「STARZPLAY」(Amzon Prime video、Apple TVチャンネルにて視聴可)で日本語字幕版が現在配信中。

トレイラー
https://youtu.be/x1JQuWxt3cE





2021.02.15掲載

テレビ・ドラマ『ふつうの人々』~アイルランドのロケ地巡り~


文・写真●山下直子

★ スライゴー周辺



ストリーダ海岸(Streedagh Strand, Co. Sligo)

登場シーン:第2話、第10話など
高校生のマリアンとコネルが秘密のデートをするビーチ(第2話)。3キロにわたって広がる砂州、正面に青白いドネゴールの山々、背後にスライゴを象徴する台形の山ベンブルベンを臨む美しいビーチは地元の人々がウォーキングやサーフィンに日常的に訪れるスポット。第11話で夏休みに帰省した2人が再会するシーンも印象深い。

歴史的には1588年、この海岸沖で3隻のスペインの無敵艦隊が難破し、1100人の命が失われるという大惨事があった。1980年代より調査が断続的に行われているほか、毎年9月に慰霊祭としてのフェスティバルが行われている。地元の人は「ストリージャ」と発音。

https://www.discoverireland.ie/sligo/streedagh-beach

☆Google Earthで見てみよう!
ストリーダ海岸 [Google Earth]





タバカリー(Tubbercurry, Co. Sligo)

登場シーン:第9話、10話、12話など
スライゴー・タウンより南へ30キロ程のところにある、スライゴー県で2番目に大きい街。マリアンとコネルの故郷の街キャリックリー(Carricklea)はここ。コネルたちの行きつけのパブはブレナンズ・バー(Brennan’s Bar)で、最終話の第12話の大晦日のパーティー・シーンもここで撮影された。そのほかキルローナンズ・パブ(Killoran's pub)、町の教会(聖ヨハネ福音教会St John the Evangelist Church)(第9、10話)も登場する。

☆Google Earthで見てみよう!
タバカリー [Google Earth]
ブレナンズ・バー(第12話) [Google Earth]
キルローナンズ・パブ(第9、10話) [Google Earth]
聖ヨハネ福音教会(St. John the Evangelist Church)(第9、10話) [Google Earth]





★ ダブリン



ホワイト・サンズ・ホテル(White Sand Hotel, Pormarnock, Co. Dublin)


登場シーン:第3話

ダブリン郊外の海辺の3つ星ホテル。高校の卒業パーティー(debs)のシーン。
ホワイト・サンズ・ホテルのサイト
https://www.whitesandshotel.ie/

ホワイト・サンズ・ホテル [Google Earth]



ハーツタウン・コミュニティー・スクール(Hartstown Community School, Dublin 15)


登場シーン:第1〜3話
第1~3話に頻出するマリアンとコネルが通う高校。ドラマの設定はスライゴー県だが、撮影にはダブリン市内のこの高校が使われた。先生や生徒もエキストラとして出演している。校長先生はメディアのインタビューにドラマのロケ地巡りの一環としてどうぞ学校見学に来て下さい、と答えていいます。もし訪れる場合は事前にご連絡をお願いします。

ハーツタウン・コミュニティー・スクールのサイト
https://hartstowncommunityschool.com/

ハーツタウン・コミュニティー・スクール [Google Earth]



トリニティー・カレッジ・ダブリン(Trinity College Dublin, Dublin 2)


登場シーン:第4話以降

1592年創立のアイルランドいち古い歴史を誇る国立総合大学。マリアンとコネルの進学先で、第4話以降、ダブリン市街地の中心に位置するこのキャンパスが物語の舞台の中心的役割を果たす。原作者サリー・ルーニーも、監督レニー・エイブラハムソンも、コネル役の俳優ポール・メスカルもここの卒業生。第4話での2人の再会シーンは17世紀末の学生寮の建物、コネルが勉強する図書館はバークレー・ライブラリー(Berkeley Library)、マリアンはマーシュズ・ライブラリー(Marsh’s Library)。第6話で2人が奨学金授与者として名前を呼びあげられるシーンは、正門を入ってすぐ右手にある講堂前である。

ドラマには出てこないが、キャンパス内にある18世紀のオールド・ライブラリー(Old Library)は必見。15~19世紀の古書20万冊が並ぶ書庫は圧巻で、1200年前に修道士が作成した国宝級の『ケルズの書』はここで現物を見ることが出来る。


トリニティー・カレッジ [Google Earth]
バークレー・ライブラリー(トリニティー・カレッジ) (第4話以降、数回出てきています)[Google Earth]
正門[Google Earth]
講堂前(第6話)[Google Earth]

オールド・ライブラリー(Old Library)


トリニティー・カレッジ・ダブリンのサイト
https://www.tcd.ie/visitors/book-of-kells/

外観 [Google Earth]
内部[Google Earth]




ウェリントン・ロード(Wellington Road, Dublin 4)

登場シーン:第4話以降
マリアンがダブリンで暮す(実在の家)シェアハウスはこの通り沿いにある。この界隈に多いビクトリアン・ハウスのひとつで、1840年建築。撮影用に内装を整えはしたものの、造り自体は当時のままだそう。(個人宅のため番地は公開されていない)
[Google Earth]





ブラックバード・パブ(Blackbird Pub, Rathmines, Dublin 6)


登場シーン:第5話
若者や学生が多く集う市街地のフリンジ・エリア、ラスマインズの人気パブ。第5話でマリアンとコネルが友人たちと出かけるビリヤード台のあるパブがここ。


https://www.facebook.com/BlackbirdRathmines/

[Google Earth]




ヒュー・レーン・ギャラリー(Hugh Lane Gallery, Dublin 1)


登場シーン:第8話

20世紀のアイルランド人アーティストの作品を主とした美術館。常設展の目玉はハリー・クラークの最高傑作とされるステンドグラス作品「聖アグネス祭の前夜」、復元されたフランシス・ベーコンのスタジオ、ショーン・スカリーの作品群だが、フランス印象派絵画のコレクションが豊富なことでも知られる。
イタリアでの休暇中にマリアンとコネルがヴェニスのベギー・グッゲンハイム・コレクション(Peggy Guggenheim Collection)で絵画鑑賞するシーン(第8話)はここで撮影され、短いシーンながら壁の色まで忠実に再現された。

ヒュー・レーン・ギャラリーのサイト
http://hughlane.ie/

[Google Earth]





フンバリー・カフェ(Fumbally Café, Dublin 8)


登場シーン:第12話

市街地のフリンジ・エリアの中で昨今もっとも注目されるD8(ダブリン8区)にある、ヒップでアートなカフェ。レトロな椅子やテーブル、不ぞろいの食器、社交的なダブリンの人たちに好まれる大テーブルが特徴。マリアンのバースデー・パーティー(第12話)のシーンがここで撮影された。
外観 [Google Earth]
店内 [Google Earth]






フォレスト・アベニュー・レストラン(Forest Avenue, 8 Sussex Terrace, Dublin 4) 


登場シーン:第9話

食料品店に併設の、地元食材をモダンに仕上げた創作料理のレストラン。メニューは日替わりのテイスティング・メニュー(75ユーロ)のみ。第9話でマリアンとルークが食事をするスウェーデンのレストランがここ。

https://forestavenuerestaurant.ie/

フォレスト・アベニュー・レストラン跡地 [Google Earth]




グラフトン通り(Grafton Street, Dublin 2)


登場シーン:第9話

19世紀からのダブリンいちの繁華街。1980年代に歩行者天国となって以来、バスカー(路上演奏者)や大道芸人の登竜門としてにぎわう。
第9話でコネルとヘレンが夜の街を手をつないで歩くシーンが2度あるが、いずれもこの通り。

[Google Earth]





テンプル・バー(Temple Bar, Dublin 2)


登場シーン:第10話

その昔、船乗りたちが集う酒場街だった名残りでパブが多く、ダブリン観光中のパブめぐりのメッカとされるエリア。70~80年代に若いアーティストたちのたまり場となり、現在はライブ・ハウス、ミニ・シアター、アート・センターなどが集まるサブ・カルチャーの発信地。風情のある古い石畳が残り、エリア全体が歩行者天国。
第10話で、新年のカウントダウンのあとでコネルとヘレンが連れ立って歩くにぎやかな通りがここ。

[Google Earth]




国立アート&デザイン大学(National College of Art and Design, Dublin 8)


登場シーン:第9話
アイルランド唯一の国立芸術大学。第9話のスウェーデンのルークのアパート兼スタジオはこの校舎内の絵画スタジオの仕切りを取り払い、大きな空間を作って撮影された。

国立アート&デザイン大学のサイト
https://www.ncad.ie/

[Google Earth]



DCUセント・パトリックス・カレッジ(DCU St Patrick' s College, Drumcondra, Dublin 9)


登場シーン:第9話

トリニティー・カレッジの屋内シーンの一部、マリアンのスウェーデンの学生寮のシーン(第9話)はここで撮影された。

[Google Earth]






★ カウンティー・ウィックロウ


ノックモア・ハウス(Knockmore House, Enniskerry, Co. Wicklow)



マリアンの実家として撮影に使われたのはスライゴではなくカウンティー・ウィックロウにある個人邸宅で、撮影時は新しく購入した新オーナーが入居する前の空白期間だった。場所は秘密にされていたが、アイルランド国内での放送を観た、当時、交通・観光・スポーツ相だったシェーン・ロス氏が「子供時代を過ごした家だ」と発言したため、特定されてしまった。個人宅のため見学不可。

参考▼
https://evoke.ie/2020/05/06/showbiz/shane-ross-childhood-home-normal-people

[Google Earth]







山下直子 プロフィール


アイルランド公認ナショナル・ツアーガイド。長野県上田市出身、2000年よりアイルランド在住。趣味はサーフィン、バラ栽培、ホロスコープ読み、子供の頃からのライフワーク『赤毛のアン』研究。
本記事の関連情報は、naokoguideが現在以下で連載しているブログ「ナオコガイドのアイルランド日記」でも紹介されています。
http://naokoguide.com/

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