GYPSY MUSIC

千年にわたる流浪の民ジプシーの旅

ジプシー音楽

 世界的な注目を集めているジプシー(ロマ、マヌーシュ)の音楽。日本でも近年、映画を通してジプシーの音楽に興味を持つ人が増えてきた。エミール・クリストリッツァ監督の作品「アンダーグラウンド」「黒猫・白猫」、トニー・ガトリフ監督のジプシー映画の3部作「ラッチョ・ドローム」「ガッジョ・ディーロ」「ベンゴ」は、衝撃的な映像と音楽世界を作り出している。中でも、「ラッチョ・ドローム」は流浪の民である彼らの音楽の旅を映像として初めて綴った音楽映像詩であり、ジプシー音楽の魅力と多面性を興味深く一気に見せる。
 ジプシー民族は11世紀頃に、ジプシー発祥の地とされるインドの北ラジャスタン地方から旅立ち、トルコ、エジプト、中東からバルカン半島を抜けて西へ西へと進み、ヨーロッパ、果ては北アフリカまで、何世紀にもわたり苦難の歴史を歩み続けた。言葉はあるが文字をもたなかった流浪の人々は、その旅の記憶、民族の歴史を歌や踊りに託すことで後世に伝承した。土地の文化と出会い、互いに影響を与え合い、また新たな音楽を生むという長い旅の記憶が、ジプシー音楽の多面性となっている。
 ジプシーの音楽は、バルトークやリストなどクラシックの作曲家に多大な影響を与え、また、スペイン南部ではフラメンコを生み出した。現在でも旅を続ける人々もいるが、多くはスペイン、フランス、東欧の村々などに定住している。


写真:ルーマニア、マケドニアのジプシー村(2001年・冬)

チャボロ・シュミット(フランス)
タラフ・ドゥ・ハイドゥークス(ルーマニア)
ファンファーレ・チォカリーア(ルーマニア)
エスマ(マケドニア)
コチャニ・オーケスター(マケドニア)

ジプシー関連映画・ビデオ